たつのの古民家リノベーション
かつての広縁も居室側に取り込みました。30~40年前のリフォームの頃に変えたであろう希少価値の少ない前造作は一旦取り払いました。その代りに天井裏に隠れていた母屋の特徴である大きな黒い梁組を現すようにしています。引込み式の内障子により和の雰囲気を残した心地良い空間を実現しました。
母屋を生活の場として活用することは勿論ですが蔵や長屋門などの活用方法に関しては迷っておられたようです。これに関しては、私の住む地域の事例などを交えてお話や提案させていただきました。
それと大きな仏壇の配置についても悩んでおられましたし、三間続きの和室を確保したいと言うのも大きなご要望でした。これらについては、物理的に現状のまま三間続きを実現するのは難しかったため柱を数本抜いたり、補強梁を新たに入れるなどして実現しました。
地域活性化事例などについての経験と事例の把握が出来ていたこと。
豊富な実績
築100年以上の地域の名家は数年前より空き家となっていました。
近所に住まわれていた住まい手にとって、この家は小さな頃からの憧れでもあったそうです。長屋門に繋がる納屋と蔵を持つこの家は、その昔、庄屋さんだったそうです。住まい手さんは年貢として米が持ち込まれていたのを覚えているとも、話して下さいました。
そんな憧れの建物の行く先を重んじた住まい手は建物への憧れと場所が持つポテンシャルに魅せられ、母屋を自らの住まいに、蔵や長屋門、納屋などを地域活性化の拠点とすべく屋敷を購入されました。
築100年以上と伺い、少し構えていましたが、内部を詳細に調査してみると、30~40年ほど前に大きくリフォームされた痕跡があちらこちらからに見受けられました。
コンクリートの基礎が打たれ、和室の設えも、その頃に一新されたようで歴史的価値を生かした形の工事とすることも考えましたが、その面影を伺えるのは、かろうじて構造体のみです。であるなら価値の無い造作は一新し、今様に暮らしやすくすべきとの判断を下しました。
母屋の南側には、使用時間の長いリビングダイニングキッチンを設け、北側には三間続きの和室を設けました。東側には水回りを設け、その近くに寝室を配置して生活動線がコンパクトになるようにしています。
母屋の南側には主庭を整備し、玄関前の東側と和室から眺める北庭も整えました。
通りに面した長屋門に繋がる納屋と蔵
以前は壁板や漆喰も剥がれ、そのままでは後数年で崩れてしまうのではないかと思うほどの状態でした。
南庭
庭も同じように荒れており森のようになっていました。
南庭見返し
玄関アプローチ周り
元は応接間のあったスペースを玄関にしました。
玄関ホール
ダイニングキッチン
元は二間続きの和室でした。
リビングダイニング
リビング
三間続きの和室、一番西側は仏間となっています。